2012年05月04日

石巻の桜空

GW真っ只中。
被災地でのミニライブで宮城県石巻へ。
このお話を頂いたのは1ヶ月ほど前。
数年前の夏、宮城の玄松院というお寺の本堂でライブをさせて頂いたご縁で
そこの僧侶の三浦さんというお坊さんから今回やってみないかとのお話。
あまりボランティアな事も大してしていない私だったので
これもご縁・・・是非という事で喜んで引き受けさせて頂いた。

前日から東北は大雨にみまわれ、在来線も運行停止など
東北に向かう新幹線内ではそんな知らせのアナウンスが飛び交う。
それでも空模様は快方に向かっている様子で
雲の切れ間から太陽も少し覗き始めていた。

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やまびこで古川駅に到着し、そこから三浦さん運転の車で石巻へ。
雨の影響で河川は思いの外増水していた。
そして初めて目の前で見る瓦礫の山。
被災地の瓦礫問題は今や日本全国の問題にもなり
それでもこんなに満載の瓦礫を目の当たりにすると
やはりどうにかしなければならない事は確か。
震災以降、最早私もそうだが政治を信じることが出来ない多くの国民。
簡単にはいかない事態にもなっている。

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そして海沿いを走るとそこには嘗ての普通の日常は無く
大津波によって破壊され奪われた日常の情景の欠片が少し残っているだけ。
惨い。。。

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それでも一年前はこんなもんじゃなかっただろう。
今は瓦礫や泥もほぼ片付けられ、何も無い大地の空には
潮風に乗りながらカモメが飛んでいる。
そしてそれが一層荒涼とした風景にさせていた。
ホント・・・あの日
何もかも持ち去って行ってしまったんだ。

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やがて最初のミニライブ会場、石巻市渡波公民館に到着。
公民館前の入口には既に観覧の人々が並んで待って下さっていた。
なのでまだ仕度もこれからの状況で到着した私を見て
「あらまぁ、日野美歌さん、、、普通の人だねぇ・・・」だって
この後、きっちり芸能人オーラ出しますよ

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そんなこんなでライブ開始まで時間もあまり無い中
音合わせの後、仕度をしてバタバタ状態でスタート。

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会館ステージ上には今朝、何方かの自宅の庭から収穫して来たという
八重桜が花瓶に活けられていて、これが無ければおそらく
かなり殺風景なステージになっていたので、何気ないそんな気遣いに感謝

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そして皆、本当に楽しみにして下さっていたのがよく解る。。。
ステージを降りて客席を回る中、握手をしながら歌う中
ここに居る人達がどれ程の悲しみを抱きながら暮らしているのかと、、、
様々な想いが巡り何だかやっぱり泣きそうな心を抑えつつ歌う。

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やがて「桜空」を歌う前のトークでは既に泣いている人を見かけてしまい
自分もまたしゃべりながら嗚咽状態になってしまった。
ダメだ、、、励ますために来ているのに自分が泣いちゃ。。。
でもこの歌をこの場所で歌う事もきっと偶然じゃない。
そして泣き崩れそうな想いを堪えながら何とか歌った「桜空」。。。

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ここに来ている多くの人が愛する人や居場所を失い
悲しみを背負いながらここで暮らしている。
どうか今日は私の歌で悲しみの荷物を少しでも下して欲しい。
そして震災前から既に掲げられていた石巻市民憲章が
今や復興への道標のように存在していた。
道のりは厳しいけれど、どうか生きて生きましょう。。。

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そんな想いを残し次の会場へと時間も押してしまい大急ぎで向かう。

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次の会場は南境仮設住宅の集会所である。
プレハブ住宅の仮設団地が立ち並ぶ中
同じプレハブの集会所でも
多くの方々が首を長くして待ってくれていた。

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そして今回はお坊さんが企画してやっていると言う事で
テレビ局の取材班カメラも取材に来ていた。

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こちらの仮設住宅で暮らす方々も心に陽を灯しながら
本当に一生懸命日々の暮らしを生きていた。
最近始めたフェイスブックで知り合った女性の80代お母様が制作した
布草履と象さんのタオル。
この布草履はママサポーターズがサポートしている
高白浜草履組合でネット販売もしている。
被災された方々の手作りだそうでお年寄りの方々が制作している。
購入すれば支援に繋がり作り手の方々の心の励みにもなる。

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そんな素敵な物まで頂き、また帰りがけはある年配女性から
「聴いて涙も沢山出たけど、その分勇気ももらったよ。ありがとね。。。」
そんな言葉をかけられ、こちらこそ全くもって励まされていたわけで・・・。
そして思った。

お会いした皆さんどの方も本当に優しい素敵な人々ばかり、
なんでこんなに大変な目に遭わなければならないのかと、、、
本当にこの世の無常も感じてしまった。
それでも皆笑顔で懸命に生きている。。。。
帰りの空を見ながら、どうか明るい未来を齎して下さい、、、そう願う道のり。
そしてやはり昨日の大雨の増水で田畑はいつの間にやら湖の様になっていて
やって来た道は閉鎖され迂回せざる終えない状況。
すると先程歌っていた場所でもとうとう避難勧告が出たと言う。
この辺りは地震で地盤沈下も激しく、水が溜まり易いそうだ。
大変だなぁ、、、、何とか無事でいて下さい。

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そして最後にコミュニティーFM、ラジオ石巻の生放送に出演。

元々在った場所は津波でダメになってしまい
街中の違う場所で今は放送している。

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そして「夕方ちゃんねる764」の生放送出演。
ひとまずこれでミッション終了である。
お疲れ様です。

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そして終了後、古川の宿泊ホテルに戻る前に
石巻を一望出来るという日和山公園に連れて行って頂いた。
鳥居の向こう側には漁港石巻が広がってた。

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桜の花も八重桜はこれから見頃という感じの中
広がる街には根こそぎ波にさらわれ傷跡が生々しい場所もこの場所から見える。


きっとここまで津波に逃れて来た人達はこの風光明美な景色が
悲しみの濁流にのまれて行く光景をまざまざと見せらていたのだろう。

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それでも桜は今年も咲いて春が来た。。。

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桜もまだ少しだけここでは咲いていた。
あの日が無ければきっとこの場所はこの豊かな自然と美しい大海原と
そして人の営みの見える街並みが美しく見えたに違いない。

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それでもここで生きる人々は明日を見つめて生きている。
そんな今宵は被災地の地酒、日髙見を頂きながらお疲れ様の一献。

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三浦さんもお疲れさまでした。

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そんな三浦さんのお寺の本堂も実はしっかり被災されている。
3.11の後に何度か携帯に電話をしても繋がらず
数日後やっと三浦さんの声を聴いた時は本当に安心と同時に涙も込み上げて来た。
お寺の修復まではまだ時間がかかるそうで、そんな中でも
被災地の為に本当に頑張られていて頭が下がります。
三浦さん、また私に出来る事があれば言って下さい。

本当にお疲れさまでした。



mikahino at 23:00│Comments(2)TrackBack(0)

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この記事へのコメント

1. Posted by 富士びたい   2012年06月06日 18:48
読んだのが6月6日なのでタイムラグがありますが、被災された方々は日野さんの事を忘れないでしょうね。「忘れられて無いんだ」と思って貰う事が、一番の励ましかもしれませんね。あとは、現地にお金を落とす事かな?
2. Posted by kokoa   2012年06月09日 22:17
そうですね、よく見ると日付が古いのですね。 ゴールデンウィークに被災地を回ったのですね。

写真から見るとまだまだ復興が進んでないようです。 美歌さんの歌で沢山の人が癒されたと思います、ご苦労様です。

妻が今年3月に日本に旅行した際、やはり被災地を訪れて、写真を撮ってきました。  何も協力できないので、せめて現地での買い物などをしたようです。

写真でみると小さな会場なので、そのほうが観客の反応が直に伝わって、いい面もあったように思います。

ココア

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